行政書士 マルケン事務所
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遺言や遺産相続といいますと、 私などの世代は横溝正史の『犬神家の一族』という映画を 思い出します。莫大な財産を持つ資産家の死により、その財産を巡って「骨肉の争い」が生じ、 果ては殺人事件にまで発展するという物語でした。
さて、この『犬神家の一族』は極端な例かもしれません。しかし、これはドラマの中だけ話で
はありません。現実の社会でも、財産の多少はあれども、遺産相続にはなんらかのトラブルが ついてまわることが多いようです。
今まで、仲良く生活を送っていた家族や兄弟姉妹が、遺産相続のトラブルにより、「アカの
他人」を通り越して、お互いを憎しみ合う間柄になってしまった・・・
大変悲しいことですが、このようなケースは、枚挙にいとまがありません。
一般の紛争には、紛争の原因があります。たとえば、賃貸借の紛争ならば、賃料が支払わ
れないのを理由に、貸主と借主が賃料をめぐって互いの主張をするわけです。しかし、相続紛 争には、原因がありません。相続人同士が、自己の相続権を主張するのみなのです。たとえ ば、次のようなやりとりが考えられます。
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長男:A男(50歳) 次男:B男(43歳) 長女:C子(47歳) A男の妻:D子(46歳)
A男:オレのところは、オヤジが死ぬまでずっと面倒を見てきた。
財産はオレが多くもらうのは当たり前だろう。
B男:いや、兄貴はその分、土地や家の心配をしなくてもよかったじゃないか。
オレのところは家のローンも残っているし、実を言うとオレの会社が今危ないんだ。
オヤジの財産は、どうしても必要だ。
C子:私のところだって、子供が3人もいるし、教育費やなんやらで一番お金がかかるのよ。
A男兄さんだけ、たくさん貰うのは、納得いかないわ。
A男:だいたいお前ら二人とも、ふだんは電話一本寄越しもしなかったくせに、
何を今更言ってるんだ。
C子:だって、電話したってD子さんが突っ慳貪だからよ。電話をする気も失せるわよ。
A男:じゃあ、何か。D子のせいだというのか・・・
<後略>
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こんな感じで、感情的かつ不毛なやりとりが続きます。お互いの主張は、それぞれ至極もっ
ともな部分もあり、平行線の議論が続くことでしょう。お互いに、少しでも相手のことを思いやる 心遣いがあれば、争うこともないのでしょうが、そうそう上手くいかないのが人間社会の現実な のです。
しかも、一般の紛争はもともとアカの他人同士ですから、決着後は感情的なしこりは少なく
てすみます。しかし、相続紛争については、血のつながった肉親同士ですから、決着がついた ように思えても、その後の付き合い方に問題を残すケースが少なくないようです。
そういった紛争を避けるために、是非とも遺言を書きましょう!
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